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Channel: WOMAN’S CAREER –就職ジャーナル
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アサヒビール株式会社

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こんどう・まな●営業本部 量販統括部 販促グループ 担当課長。東京都出身。39歳。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2000年入社。自分にとって身近な「モノ」に携わりたいとメーカーを志望し、ニッカウヰスキーのアットホームな社風にひかれ入社を決めた。現在、夫と1歳の娘と3人暮らし。

ニッカウヰスキーからアサヒビールへ。ウイスキーブームを一過性で終わらせない

入社16年目の現在、洋酒ブランドの販促立案を担当している近藤さんにとって、ウイスキーは思い入れのある商品だ。2001年にアサヒビールの子会社となった洋酒メーカー・ニッカウヰスキー株式会社が、大学卒業後に入った最初の会社だからだ。

中学、高校時代を、イギリスや香港など海外で過ごした近藤さんにとって、「英語を使って海外とのやりとりがある仕事に就きたい」という思いは、就職活動の一つの軸だった。ニッカウヰスキーの温かみのある会社の雰囲気に「ここだ」と直感し入社を決め、配属されたのは国際部。輸入洋酒やワインの国内導入に関する渉外補佐を担当した。

「海外のサプライヤーと日本市場への導入商品について折衝するのは、まさにやりたかった仕事でした。ただ、営業現場の経験もなければ、輸入商品がどのように日本に入り、どう販売されていくのか、物流の流れもわからないことばかり。海外の商品担当者と商品導入や価格設定、販促内容の打ち合わせをする先輩の通訳をしながらどんな商品をどう販促展開しながら売っていくのか、その流れを入り口から見られたことは貴重な経験でした」

 

2年目になると、アサヒビールへの営業統合が決まり、「大好きな仲間と一緒に転職した」気持ちでアサヒビールに転籍。ニッカウヰスキーでの仕事を引き継ぐ形で、ワイン部および洋酒部を兼任した。どんな海外サプライヤーでも、「アサヒビール」という社名を出せば、会社の説明をする必要なくわかってくれることに感動し、大手企業に入ったことを実感したという。

 

転機は入社3年目に訪れる。当時の上司が「営業現場に近い場所で、経験を積んだ方がいい」と九州統括本部 営業企画部への異動を打診してきたのだ。縁もゆかりもない九州転勤に戸惑いながらも、「せっかくアサヒビールにいるのだから、ビールの販売戦略も見てこよう」と量販チェーンの営業サポート業務を担当することになった。

「量販マーチャンダイザー(MD)として、商品の店頭展開を営業担当と一緒に考え資料を作成し、お得意先のチェーン量販店さまに提案していくのが私の仕事でした。営業は、ビールからワイン、洋酒まで、当社が扱うすべての商品を売るので、共に販売戦略を考えるMDも商品知識は必須。あらゆる店舗に足を運び、ワインがよく売れている棚の特徴や、ビールが売れているのはほかのお店と何が違うのかなど、売り場研究も重ねました。ある大手チェーン店から、お酒の売り上げを上げるために売り方の方法を提案してほしいと言われた時は、売り場の工夫で成功している他店舗事例を本社から集め、ビール、ワインなどそれぞれの棚割り(棚に商品を並べるレイアウト)方法を提案。酒類メーカー各社がプレゼンした中で、私たちはワインの棚割りを任せてもらい、結果として、当社商品の大幅導入増につながりました。提案が実際に採用され、売り場づくりを経験してようやく、『アサヒビールの一員になれた』という感覚を得ましたね」

 

量販MDを5年間経験したのち、本社のワイン事業部に異動した近藤さんは、ブランドマネージャーとしてアメリカやスペイン、チリなどの輸入ワインの商品導入、販促立案を担当。海外サプライヤーとの折衝経験と、量販店への販促立案経験の両方が生きる仕事だった。

「海外サプライヤーは、より高価な商品をより多く日本に導入したいと考えますが、日本の市場とマッチしなければ売り上げにはつながりません。08年当時は、ワンコイン(500円)ワインが気軽に楽しめるようになったころ。『まずは大衆向けワインで、市場認知度を拡大していきましょう』『高級路線は、大衆向け商品と並行していってはどうでしょうか』などと提案し、各ブランドの店舗展開、販促施策を考えていきました」

 

年に1~2回、海外から商品担当者が来日する際は、必ず店舗につれていき、実際の売り場を見せるようにしたという。

「ワイナリーを持っている国の多くは、売り場面積が日本の何十倍もあり、ワインがずらりと並んでいます。まずは日本の売り場の小ささを認識していただき、『こんなに小さな売り場なら、何を置くか厳選しなければいけない』という思考になってもらわなくてはいけません。海外と何度もやりとりを重ねた末に導入したブランドが、市場に受け入れられ売り上げが上がると『この商品を選んで間違いなかった』とうれしくなります」

 

14年4月から1年間の産休・育休を経て、現在は量販業態における洋酒ブランドの販促立案を担当している。市場拡大は難しいと言われてきた洋酒だが、NHK朝の連続ドラマ小説『マッサン』(14年9月から放映された、ニッカウヰスキーの創業者を主人公のモデルにした作品)の大ヒットにより、洋酒の売り場面積は拡大し、取り扱う店舗も増加。その市況の変化にようやく慣れてきたと話す。

「もともと洋酒を好きな方はもちろん、ドラマを機に好きになってくれた方、飲み続けてくれている方、それぞれにもっと洋酒を楽しんでいただけるよう販促提案を進めていくのが私の役割。一過性のブームで終わらせないよう、年間で洋酒が売れるタイミングを分析しどんな販促展開をしていくのか、広がった市場の今後を決めるうえで、今が重要な時期だと思っています」

 

今後は、「いろんな仕事を経験することで幅を広げていきたい」と話す近藤さん。

「ニッカウヰスキーからアサヒビールへと所属する会社が変わったことで、経験できたことがたくさんあります。大きな企業にいるからこそ、ジェネラリストとして多職種に挑戦できる機会があると思うので、まったく違う分野にも足を踏み入れたいですね」

 

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食品メーカーとコラボレーション企画について打ち合わせ。現在、店頭で一緒に売る販促プランを考案中だ。

 

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販促施策を全国の営業拠点に伝え、実際に店頭で展開してもらうよう、施策内容について資料をまとめていく。

 

近藤さんのキャリアステップ

STEP1 社会人1年目、ニッカウヰスキー株式会社に入社

「英語を使って仕事をしたい」という思い通り、国際部に配属され、海外の洋酒やワインメーカーとの渉外をサポート。担当者が来日した際には、打ち合わせで同時通訳をすることもあった。「1年目で海外メーカーとの折衝の場にいられて、耳にする内容すべてがとても刺激的でした。英語力を評価されての配属だったと思いますが、商品流通の基礎すらわかっていなかったので、周りの先輩や上司には基本的なことから本当によく教えてもらいました」。

STEP2 社会人2年目の営業統合により、ニッカウヰスキーからアサヒビール社員になる

担当していた輸入洋酒やワインの販売元がすべてアサヒビールに移行したため、価格設定などすべて変更することに。ワイン部および洋酒部で渉外担当補佐を担当したのち、九州統括本部 営業企画部 量販MDグループに異動。主要チェーンを担当する営業のサポート業務を担った。「ワインの棚割りでは、『産地や名前を覚えるのが難しく、何を選んだらいいのかわからない』という消費者のために、商品の特徴がわかるPOPをつけたり、価格帯ごとに段を分けて陳列する方法を提案しました。実際に、店頭で自分が考えた棚割りを見ると感激します」。

STEP3 入社8年目、本社のワイン事業部に異動

ブランドマネージャーとして、担当ブランドの全社的な販促施策立案を担う。量販店向けの商品か、業務用(飲食店)向けの商品かで担当が分かれ、近藤さんは量販業態を担当。海外のサプライヤーと、日本のマーケットに向いている新しい商品を模索するため、アメリカ、スペイン、チリのサプライヤーとメールでやりとりを重ね、導入商品を決めていった。

STEP4 入社15年目に1年間、産休・育休を取得。16年目の6月末に職場復帰

1年間の産休・育休を経て、時短勤務で復帰。16時半には退社し保育園に娘を迎えに行くため、限られた時間の中でどれだけ仕事を終えられるか、優先順位を持って取り組むようになった。「洋酒を売るのはすごく難しいと言われていたところから、2014年後半から市場は一変しました。ニーズが高まっている今、再びウイスキーを扱えるのは幸運なこと。ますますウイスキーファンを増やせるよう、施策を考えていきたいですね」。

ある一日のスケジュール

5:00 起床。朝ご飯をつくる。
7:15 家を出る。保育園の送りは夫が担当。
8:30 出社し、メールチェック。社内からの問い合わせに返信していく。
9:00 商品の出荷数量をチェック。
10:00 マーケティングのメンバーと販促施策について打ち合わせ。
12:00 外でランチ(忙しいときは社員食堂で早めに済ませる)。
13:00 資料作成。販促施策を各地区にどう周知させていくかについてまとめる。
15:00 量販統括部のミーティング。情報共有。
16:30 退社し、娘を保育園に迎えに行く。
18:30 娘に夕ご飯を食べさせ、入浴させる。
23:00 就寝。21時ごろに娘と一緒に寝てしまうこともしばしば。

近藤さんのプライベート

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2015年7月、歩けることが楽しくて仕方がない1歳の娘。通っている保育園には園庭がないので、土に触れる機会を与えたいと公園にはよく連れていく。

 

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15年10月、夫の実家がある群馬県前橋市で、子ども向けの小さな遊園地に娘を連れていった。メリーゴーラウンドに初めて一人で乗って、不安そうな表情。

 

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15年11月、姉(右)と大好きなアーティストのコンサートでリフレッシュ!

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子


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