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Channel: WOMAN’S CAREER –就職ジャーナル
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株式会社ベンチャーバンク

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えんどう・みおり●LAVA事業部 店長。福島県出身。26歳。東洋大学社会学部社会学科卒業。2010年入社。小学校から陸上競技を始め、中学まで中距離選手。高校に入り陸上部のマネージャーを始めたことで、支える側に立つ喜びを知る。就職活動では、スポーツにかかわる仕事がしたいと、スポーツ用品メーカーからスポーツ新聞まで幅広い業種に興味を持つ。同社に決めた理由は、事業を語る社員の楽しそうに話す姿にひかれたから。「LAVAを立ち上げた方の話を聞き、こんなふうに、自分の仕事をイキイキと誇りを持って語れる社会人になりたいと思いましたね」

頑張っている人を支え、変化を見守ることが一番のやりがい

会員数1000人を持つ、「ホットヨガスタジオLAVA」の老舗店舗・大宮店(埼玉県大宮市)で、売り上げ管理からシフト作成、メンバーのレッスンチェック、面談と多忙な毎日を送る遠藤さん。「入社するまでヨガの知識はまったくなく、人前で話すのも指示を出すのも苦手。そんな自分が店長になるとは想像もしていなかった」と笑う。

 

もともと「自分が表に出て活躍するよりも、人が全力を出せるようサポートする方が合っている」と思っていた。陸上選手として活動していた小・中学校時代から一転、高校で陸上部のマネージャーを務めてきた遠藤さんは、スポーツを裏から支える仕事を志望していた。しかし、就職活動中、「ホットヨガスタジオLAVA」の魅力を、“伝えたくてしょうがない!”と言わんばかりに話す多くの社員に出会い、体を動かす楽しさ、気持ちよさを伝える仕事に挑戦してみたいと思うようになったという。

 

入社すると、「ホットヨガスタジオLAVA」でインストラクターとして一人前になるため、1カ月の研修が始まった。伊豆高原にあるLAVAの研修施設に2週間ほど泊まり込んで、トレーナーからさまざまなノウハウを学ぶ。

「30人いた同期は、新体操やバレエ、ダンス経験者が多く、体もやわらかい。私とは大きな差がありました。研修では、解剖学やヨガ哲学を学ぶ座学と、実際に体を動かしながら、インストラクターとしての技術を学ぶ実技があり、先生役と生徒役を交互に繰り返して何度もロールプレイングを行いました。ヨガのスキルを習得する一方、前提として大事なのは、目の前にいるお客さまに、もう一度先生のレッスンを受けたいと思ってもらえるような対応ができること。体の調子をさりげなくヒアリングして、お客さまが抱えている悩みを把握したり、体への負荷が大きくならないよう、レッスンの合間に声をかけるなど、コミュニケーションを絶やさないことも大切です」

 

1カ月の充実した研修を終え、LAVAの公認インストラクター試験に合格すると、5月には各店舗で、インストラクターとしてデビューすることになる。

1日に2本のレッスンを持ち、その合間にフロント業務を行うのが主な仕事だ。レッスンの進め方に関しては、全社共通のマニュアルがしっかりとあるが、お客さまとの対応の仕方、コミュニケーションの取り方は、当然ながらインストラクター一人ひとりで異なる。入社2カ月目で小規模スタジオのpetit成増店(東京都板橋区)に配属された遠藤さんが、最初にぶつかったのは、お客さまとの経験の長さの違いだった。

「LAVAに長く通い、ヨガ歴では私よりも長いお客さまはいっぱいいる。どうしても『新人の先生』という見られ方をして、『前の先生と違うところ』を指摘されてしまいます。何を変えれば受け入れてもらえるのだろうと悩んだときもありましたが、誰かのまねをしても自分らしいレッスンではない、自分にできる最善を尽くすことがお客さまにできることだと考え、心が軽くなりました」

 

1年目の冬にはpetit所沢店(埼玉県所沢市)のオープニングに合わせて異動となり、新規のお客さまへの対応が主な仕事となった。自分にとっても、お客さまにとってもお互いに初めての生徒と先生という関係性の中で、遠藤さんは徐々に自分なりのレッスン方法を確立させていく。

「自分だからできること、伝えられることは何だろうと考えたとき、自分がヨガを始めたことで起きた変化についてお話しすることだなと思いました。同期の中でも断トツに体がかたく、それゆえに肩こりや冷え性に悩んでいた私。でもヨガを始めたことで、長年悩まされてきた肩こりや冷え性、便秘から、驚くほどすっきり解放されました。お客さまの抱えている体の悩みに耳を傾け、定期的に様子をおうかがいする対話を繰り返し、自分の経験もオープンに話すことで、お客さまとの距離がどんどん近くなっていきました」

 

ようやく少しだけ認められた、と思えたのは、お客さまから初めて手紙をもらったときだった。

「以前からLAVAのほかの店舗でヨガをされていたその方は、家の近くに店舗ができたということで所沢店に移ってきたんです。スタジオで出会って数カ月たったとき、丁寧なお手紙を頂きました。『遠藤さんにかけてもらった“素敵なヨギーニ(ヨガをする人、という意味)ですね”という言葉がなんとも嬉しくて、“私ヨギーニになりたい”と強く思ったんです。1年前の自分がどんなだったか思い出せないくらい変わりました。私は遠藤さんが思う以上に遠藤さんに導かれてきたんだと思います』という内容で、レッスンの合間に重ねる、私とのささいな対話が、お客さまのモチベーションを維持するためにとても大切なものなのだと、あらためて実感し、鳥肌が立つくらい感動しました。自分が心がけてきたことは間違っていなかったんだと思わせてくれたそのお手紙は、今でも大切に保管しています」

 

1年目の冬から2カ月のキャリアアップ研修を受けていた遠藤さんは、入社2年目の7月に、所沢店の店長に抜擢される。レッスンのスケジュールとシフトの作成、売り上げ管理といった店舗運営業務から、5人のインストラクターのマネジメントまで任される多忙な日々が始まった。

「まず重要なのは、店舗の稼働分析とレッスンスケジュールの作成です。どの時間帯のどんな内容のレッスンが人気なのか、新規のお客さまが多く集まるレッスンは何かなどを売り上げ数字とともに分析し、インストラクターのシフトと合わせて決定していきます。LAVAには約30種類のプログラムがあり、インストラクターによって取得しているプログラムの種類が違うため、シフトを組むのもパズルのような作業なんです。900名の会員を抱え、1日6~7本のレッスンを行うスタジオで、レッスンの組み立ては売り上げに直結します。思い描いていたようにお客さまからレッスンに高評価を頂くととてもうれしいですね」

 

一方、所沢店は新規で来る方が多く、解約してしまう方も少なからずいた。そこで、お客さまのモチベーションを維持し続けるため、メンバーと一緒にさまざまな施策を考え実行していった。

「通常レッスンにない、特別な内容のレッスンを定期的に行ったり、名刺サイズの『コミュニケーションカード』を作成して、お客さまとの会話を増やしたりと、メンバーと意見を出し合いながら試行錯誤を重ねました。3カ月ごとに、カードに体の調子や悩みを書いてもらい、それに対してインストラクターが『こういうプログラムが合っているかもしれませんよ』など、コメントやアドバイスを書き入れて渡します。すると、お客さまには『わかってもらえている』という安心感が広がり、インストラクター側も、お客さまのことを理解できているという自信から、顔を合わせたときのちょっとしたコミュニケーションもよりスムーズになっていくのです。そんな小さな試みにより、解約されるお客さまも徐々に減っていき、気がつけば会話の多い和気あいあいとした店舗に変化していきました」

 

インストラクター5人と一丸となって店舗づくりをした実績を買われ、3年目には店長として志木店(埼玉県志木市)をオープニングから任される。

しかしここで、成功体験に自信をつけてきた遠藤さんに大きな転機が訪れる。中途採用で入社してきた社会人経験の長いメンバーと仕事をすることで、マネジメントの仕方に戸惑いが生まれ始めたのだ。

「それまで一緒に働いてきた同期や新卒入社のメンバーなどと比べ、別分野でキャリアを積んできたメンバーは、経験も年齢もさまざま。何か新しい施策をやろうと提案しても『やってみよう!』と一筋縄ではいきません。その背景を説明し、どんな仕事を頼みたいか具体的に伝えてようやく動き出すことも多く、コミュニケーションに時間がかかりました。今思えば、それが当然ですし、店長として、相手が納得し、心地よく動き出せるまで導くことは重要な仕事です。でも、自分の未熟さと、新店舗の運営を任せられたプレッシャーにより、キャパシティーはどんどん狭くなっていました。『どうしてできないの?』『どうして動いてくれないの?』と、できないところばかりが目につき、一人イライラを募らせていました」

 

そんな遠藤さんに、店舗統括をしていた先輩社員が、メンバー一人ひとりの意見を吸い上げフィードバックしてくれた。そこで言われた言葉の数々に、遠藤さんは大きなショックを受けることになる。

「『店長がいつもぴりぴりしている』『意見が言いにくい』といったメンバーの声を、先輩が私に伝えてくれたんです。相手に求めてばかりで、自分を省みていなかったことにはっとしました。できないことではなく、できていること、メンバーそれぞれのよさを認めることから始めようと思い直し、月1回設定していたメンバーとの面談では、まず私から、今までの態度、至らなかった点を素直に認め謝りました。メンバーと本音で意見を言い合うことを、そこから初めてできるようになった気がします」

 

その後、2スタジオを持つ大型店舗・大宮店の店長に就任。繁忙期には、16人ものインストラクターをマネジメントしながら、お客さまの体の悩みや変化にじっくり耳を傾ける姿勢も崩さない。

「お客さまがヨガに出合い、体調がよくなったり、心が元気になったりと、目の前で変化していく姿を見ることができる。それが何よりうれしいですね。さらに店長になったことで、お客さまとの出会いによって成長していくメンバーを見られるのも、この仕事の大きなやりがいです。私は頑張っている人をサポートし、応援するのが好き。学生時代からのモチベーションの源は、今も変わらずあります」

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各店舗の店長が集まって行われる、月に1回のエリア会議。目標数値の共有や、行ってよかった取り組みを発表し合い、お互いのスキルアップにつなげている。

 

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店舗を異動するたびにもらった、お客さまからの感謝の手紙。今でも大切にとっておき、元気が出ないとき、落ち込んでいるときに読み返して何度も励まされているという。

 

遠藤さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目  petit成増店に配属される 

1カ月の研修を経て、petit成増店でインストラクターになる。途中、新しいレッスンプログラムの研修を受けるなど積極的に学びの機会を増やし、入社後、約半年の間に5つの研修に参加。インストラクターとしての力をつけていく。1年目の冬に、petit所沢店のオープニングスタッフとして異動になる。

STEP2 入社2年目  petit所沢店の店長に就任 

1年目の2~3月にキャリアアップ研修を受け、店長になる道を模索していた。そのやる気を評価され、2年目の4月に店長代理、7月に店長に抜擢される。店舗運営、売り上げ管理の店長業務をしながら、1日1~2レッスンをこなす多忙なスケジュールで、毎日があっという間に過ぎていった。

STEP3 入社3年目  志木店のオープンに合わせて異動 

メンバーとのコミュニケーションがうまくいかず、店長としての未熟さを痛感させられた志木店。マネジメントにおいて、自分の至らないところを見つめ直し、相手のいいところを伸ばす大切さを学ぶ。

STEP4 入社4年目  2スタジオ店舗の大宮店に異動 

会員数1000人を持つ大型店舗の店長を任される。2スタジオが常に稼働しているため、スケジュールの組み方、シフトの調整は今までの店舗の2倍大変。内定者アルバイトを含め16人のメンバーを抱えた時期もある。

 

ある一日のスケジュール

9:00 出社。
10:00~11:00 1本目のレッスンを行う。
11:00~12:00 スタジオの掃除、次のレッスンの準備を終え、フロント業務に入る。
12:00~13:00 2本目のレッスンを行う。
13:00~14:00 フロント業務に入る。お客さまが書いたカウンセリングシートを見ながら、レッスンの感想をヒアリング。入会の手続きなども担当する。
14:00~15:00 シャワーを浴びて、休憩。レッスン後は体に良いものを食べるようにしている。
15:00~17:00 メンバーと面談。その後、メンバーのレッスンをチェックし、いいところ、直した方がいいところをフィードバック。
17:00~18:00 レッスンスケジュールとシフト作成(月初のみ)。
18:00 退社。
19:00 ヨガレッスンを受講、または自宅に帰ってご飯を作る、友人とご飯に行くなど。
22:00 帰宅。
23:00 就寝(体の様子を見て簡単なヨガのポーズやストレッチをしてから寝ることも)。

遠藤さんのプライベート

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年子の3姉妹の真ん中に生まれ、いつまでも親友のように仲良し。福島の実家に帰省したとき、息を合わせた大ジャンプを撮影!

 

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2013年秋に伊豆諸島の式根島マラソンに出場。6キロの短いレースだったが、島ゆえにアップダウンが激しく、スタート後すぐに疲労困憊(こんぱい)に…。写真左の紺色のウェアを着ているのが遠藤さん。今でも走ることは大好き!

 

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2013年夏に友人(右)と高尾山トレッキングへ。自分はインドア派だと思っているものの、アウトドア好きな友人が多いため、結果的に体を動かすことが多いそうだ。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康


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