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Channel: WOMAN’S CAREER –就職ジャーナル
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JTBグループ

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ひがしはら・あや●新宿第一事業部 営業第二課 法人営業マネージャー。36歳。東京都出身。専修大学経済学部国際経済学科卒業。2003年入社。旅行業界に興味があり、大学2年の時に旅行業務取扱管理者(当時・総合旅行業務取扱主任者)の資格を取得。

旅をして、自分が見ている世界の狭さを知った。それが旅行業界を志した原体験

「旅行」だけにとどまらず、企業、学校、地域社会の「交流」を創造する「交流文化事業」を推進するJTBグループ。その事業をけん引するのが、法人ソリューション営業に特化したJTBコーポレートセールスだ。マーケティング課題を解決するプロモーション企画、イベント実施、企業・大学・行政との連携による地方活性化など、お客さまのあらゆる課題解決を担っている。

 

就職活動時から企業選びの軸は「旅行業界」「営業職」だったという東原彩さん。きっかけは、大学1年生の時に参加したネパールでのボランティア活動だった。初めての海外旅行で現地の小学校を回り、出会った子どもたちの姿、目の当たりにした貧富の差に衝撃を受けた。無知な自分を知ると同時に、「私も誰かに“気づき”を与える仕事に就きたい」と思い、“旅”を提供する仕事に興味を抱いたという。

「さらに、就職活動の中で、さまざまな業界の営業職に就いている社会人の先輩に話を聞き、お客さまのニーズを聞いて提案し、直接『ありがとう』と言われる仕事に魅力を感じるようになりました。形のない“旅行”という商品を通して、お客さまの人生観に少しでも気づきを与えられたら…。そう考え、旅行業界の営業職を志望していました」

 

入社して配属されたのは、団体旅行千葉支店。企業の視察旅行や研修ツアー、インセンティブ旅行などを手がける営業部門だ。土地勘がまったくないまま、新規営業を任され、千葉県ほぼ全域を担当することに。「毎日5枚以上、名刺交換すること」を目標に、あらゆる企業を回る日々が始まった。

「お茶を出して話をしてくださる企業もあれば、冷たく断られるケースもあります。でも、数を重ねるうちに、どんな業界、どんな規模の企業に旅行ニーズがあるのかという感覚がだんだんとわかるようになりました。土地柄からか、経営者同士の横のつながりが強く、一人との出会いから人脈が広がっていく面白さもありました」

 

入社半年後には、まさにその“営業先からの紹介”をきっかけに、ある経営者団体の海外視察旅行を受注。企業経営者の方々で構成される団体に、海外視察旅行を企画する仕事でした。

「私にとっても初の海外案件です。旅行企画の段階では、『私だったら、こういう企画に参加したいと思う』と、自分視点からなかなか抜け出せない私に、『お客さまから見たら、本当にその内容がいいと思う?』『例えばこういう考えはどうかな』と、お客さまの立場に立った、異なる角度から考えるよう、アドバイスをくれる先輩が支店にはたくさんいました。約25人の経営者による3泊4日の台湾視察旅行という、失敗の許されない仕事。添乗員としてベテランの先輩が行くのだろうと思っていましたが、私の上司は、『あなたのお客さまなのだから、あなたが行きなさい』と新入社員の私に迷いなく言ってくれ、出発前には、添乗時に気をつけることや細かい気配りの仕方に関しても丁寧に教えてくれました。支店の先輩方には日々助けてもらい、本当に周りに恵まれていたと思っています」

経営者団体の海外視察旅行は、その後、東原さんが異動するまで9年間催行され、経営者同士が視察先の海外事情を学ぶだけにとどまらず、悩みや相談を共有できる、1年に1回の貴重な機会になっていったという。

 

9年間、旅行を中心とした企画営業を担当していた東原さんだが、入社9年目には企業プロモーションやイベントなど、“旅”という切り口にとどまらない企画を手がける、新宿第一事業部への異動が決まった。そこで、メーカー、金融業界を担当し、地方自治体と連携して担当企業のプロモーション企画を実施するなど、今までとは異なる事業に関わるようになった。

「自社商品を購入いただくお客さまに価値あるイベントを提案し、組織化したいという課題を持つ企業が、美しい星空で有名な長野県阿智村で、満天の星を200人が一斉に楽しむイベントを実施。JTBとして企業と地域の橋渡しを行いました。昼には地元の方も参加できる、阿智村の食材を使ったバーベキューや物品を販売したり、伝統芸能の実演を行ったりと、企業と地域のコラボレーションイベントを実施。夜にはイベント会場でカウントダウン後、電気を一斉に消して辺りを真っ暗にしました。夜空を埋め尽くす星に大きな歓声が湧き上がった瞬間には、このイベントにかかわることができてよかったと心から思いました」

 

10年目になると、グループリーダーとして9人のメンバーを持ち、仕事の喜びの質は大きく変わっていった。当初は「マネジメントにまったく興味がなかった」という東原さんだったが、メンバーがお客さまと信頼関係を築き、成果を上げていく姿を見ることが大きなモチベーションになっていったという。

「営業が大好きだったので、自身が担当するお客さまに『旅行』という素材を通してかかわることができていれば、それで幸せでした。最初は、マネジメントは向いていないと思い込み、10歳以上年下の新入社員や年上の先輩にどう接すればいいのか、戸惑ってばかりいました。でも、メンバーがお客さまに褒められてうれしそうにしている姿や、企画したイベントを成功させて喜ぶ姿など、自分が味わってきた営業の面白さを積み重ねている様子を見て、自分のこと以上に喜んでいる自分に気づきました。特別なことをしなくても、自分が先輩や上司に教わってきた考え方や動き方をそのまま伝えられればいいんだ。そう思えてからは、年次に関係なく、メンバーに対して自然に接することができるようになりました」

 

営業未経験のままグループ異動してきた1年目のメンバーには、自身が先輩に教えてもらった「お客さま目線で企画を考える大切さ」など営業の基本を、面談や日々のコミュニケーションの中で伝え続けた。一人で営業に行ったこともなかったメンバーが、3年目には、優秀な営業成績で社内表彰されるほどに成長。「メンバーの努力を、思いを持ってサポートし続けること、信頼関係を築くことで人はこんなにも変わっていく」と体感する貴重な経験になったという。

 

現在は、プレーイングマネージャーとして、メーカーや、金融業界のお客さまを担当する東原さん。企業のプロモーションを兼ねたイベント企画を引き続き担当している。

「JTBコーポレートセールスが2010年夏より開始した『JTB 「旅いく」』というプログラムがあります。これは、3~12歳の子どもを持つ家族に向け、“旅”を通じて子どもたちの好奇心を育み、成長を手助けする取り組みです。この『JTB 「旅いく」』と、お客さまが推進する『親子の特別体験』をコラボさせたイベントでは、子どもたちが八ヶ岳の村の方々と山探検をし、山にある植物や生き物に関することをその場で学習。その後、野菜を大切に育てた農家の方と、野菜収穫から調理まですべてを子どもたちの手で行いました。地域の方々と子どもたちが“体験”を通して学ぶこのプログラムは、全国10カ所で実施しました」

 

「誰かに“気づき”を与える仕事に就きたい」という学生時代の思い通り、旅にとどまらないさまざまなイベントを手がけ、企業から地方自治体、企画に参加するお客さまに、幅広い体験を提供している東原さん。それでも、まだまだ目指す姿は先にあると話す。

「『JTB 「旅いく」』のコンセプトは、ある女性の先輩が、ご自身の子育ての経験から発案し、社内の新規事業公募制度に応募して事業開発まで進めて形にしていったものなんです。『体験を通して子どもたちの好奇心を育むようなプログラムを作りたい』と、アイデアをどんどん実現し、形にしていく姿は、本当にカッコいい。社内には『この方のバイタリティーにはかなわない』と思える先輩たちが本当にたくさんいて、私も早く追いつきたいと多くの刺激を会社でもらっています」

 

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お客さまに提案するプロモーション企画について、メンバーに意見を求める。

 

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メンバーとの情報共有ミーティング。企業と地方自治体のコラボレーション企画を立てるため、地方の魅力について意見を交わし合う。

 

東原さんのキャリアステップ

STEP1  入社1年目、団体旅行千葉支店にて新規開拓営業を担当

旅行業界を志望していた学生時代には、旅行事業についてより深く学ぼうと、大学2年の時に旅行業務取扱管理者(当時・総合旅行業務取扱主任者)の資格を取得。旅行業界を目指す学生の勉強会にも参加していたそう。入社後は、1カ月間の新入社員研修を経て、団体旅行担当へ。「企業の旅行は、研修や視察、インセンティブツアーなど、さまざまな形があります。お客さまのニーズをヒアリングし、抱えていらっしゃる課題に対して内容を提案していくことは、営業としてまさにやりたかったことでした。最初のうちに経験させていただいた新規営業は大変なこともありましたが、入社当時は女性の営業担当というだけで珍しがられ、かわいがってくださるお客さまに恵まれました」。

STEP2  同部門で、千葉県の経済団体や1部上場企業の役員旅行などを担当

1年目で受注した経営者団体の海外視察旅行は、毎年恒例の案件となった。「参加メンバーの中には、1部上場企業の創設者の方もいらっしゃいました。その方が89歳でパスポートを更新する際、『あなたと行く旅行が楽しみだから、パスポートも10年期限のものにして、これからもずっと参加するよ』と言ってくださいました。気心の知れた経営者仲間との旅行が心休まる場になっていることを知り、その機会を提供できたのだと実感した瞬間でした」。

STEP3  入社10年目、新宿第一事業部に異動。グループリーダーになる

千葉支店では旅行企画を多く担当していたため、新しい部署に来た時は、プロモーション企画やイベント立案に関して飛び交う用語すらわからない状態だった。11年目には、9人のメンバーを持つグループリーダーとして、マネジメントを経験。「グループで営業数字を追いかけ達成した時や、メンバーの成長を実感した時、自分一人では味わえない大きな喜びがありました」。

STEP4  入社14年目、営業担当マネージャーになる

マネジメントに特化していたグループリーダーから、プレーイングマネージャーへとポジションを変え、「提供する商品は旅行だけではなく、人々の交流が生まれる場所で何ができるか、どんな効果が得られるのかという非常に幅広い範囲で企画を考えることができます。『JTB 「旅いく」』プログラムを立案した先輩のように、社会的なニーズを掘り起こし、お客さまの価値向上に貢献できる提案ができたらと思っています」。

ある一日のスケジュール

6:30 起床。朝食、身支度。
9:15 出社しメールチェック。
9:30 週に1回、グループメンバーとのミーティング。営業状況を共有する。
10:00 外出し、お客さま先へ。
11:00 自動車メーカーの担当者と地域活性に関するイベント企画について打ち合わせ。
13:00 外出先でランチ。
14:00 帰社し、午前中の打ち合わせ内容に基づいて企画書を練り直す。
16:00 見積書を作成。
18:00 退社(残業がある時は20時ごろ退社する)。
18:30 メンバーと飲みに行く(女性メンバーと「女子会」を開くことも)。
22:00 帰宅。家事を終えてから、通っている英会話教室の課題に取り掛かる。
24:00 就寝。

東原さんのプライベート

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同じ会社に勤める夫と、毎年海外旅行に出かける。写真は、2016年1月に訪れたオーストラリアのモートン島の夕日。

 

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16年4月よりバンコクに赴任する後輩と、赴任直前に山梨日帰り旅行へ。ほうとうやワインなど山梨グルメを満喫。

 

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近所でワインやビールのお祭りがあると、友人が集まる。高校時代からの親友や会社の後輩と一緒に、女子トークで盛り上がる。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子


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